一晩中鉄道に浸れる夢のような古民家 山梨の「宿 ぽっぽや」に泊まってみた

  • 公開 2018.06.30

鉄道に一晩中浸ってみたい…そんな夢をかなえてくれる宿を山梨県で見つけました。


山梨 宿ぽっぽや

「宿 ぽっぽや」


「宿 ぽっぽや」って?


山梨県都留(つる)市にある築80年の古民家をリノベーションして誕生した交流型の宿泊施設。

電車の中をイメージした部屋や電気機関車を実物大で再現したエリア、本格運転台シミュレーターなど鉄道要素がちりばめられています。


山梨 電車 宿 ぽっぽや

JR中央本線大月駅から富士急行線に乗り換えて約18分、「谷村町(やむらまち)駅」に到着。

『後で返してくれればいいから~』と、笑顔で駅員さんが傘を貸してくれたことに感激。


宿 ぽっぽや 谷村町

傘をさして線路沿いを歩くこと1分。駅ホーム先端のすぐ近くにその宿はありました。


山梨 ゲストハウス ぽっぽや

ガラガラと引き戸を開けてみます。


昔の駅にタイムスリップ


宿 ぽっぽやのエントランス

『ごめんくださ~い』。静かな家の中に声が響きます。



あれ、誰もいない…

人もいないし音もしない。まるで昔の駅に迷い込んでしまったかのよう。静かすぎてシーンという音だけが聞こえます。



昔、学校の黒板にいたずら書きしてたなぁ。



車止めの標識…ん、よく見ると土間に線路が敷設されている!?



異次元空間に見とれていたら、この宿の美人女将、鐘ヶ江(かねがえ)さんが二階から降りてきました。



共用スペースに上がりチェックイン。なぜか田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに行った感覚に襲われます。時間の流れも不思議なほどゆったり。


電車に浸る…


電車がゆっくりガタンゴトンと通過!

いろんな色や形の電車が通るので飽きない!


突然、踏切の音が聞こえ窓を開けると…

すぐ目の前を、電車がゆっくりガタンゴトンと通過!大迫力でこれは1日中見ていても飽きないです。



女将さんに『開けてみてください』と言われ、桐たんすを開けてみると…



まさかのプラレールがギッシリ!電車好きのお子様にはたまらないですね。



奥には鉄道雑誌のバックナンバーもギッシリ。電車好きの大人もたまらないです(自分)。



先程の母屋から中庭に出て、宿泊エリアに移動。

おやおや、何かとんでもないものが見え隠れしています…



入るといきなりドーン!と現れたのは、かつて寝台特急などを牽引していた電気機関車「EF66」の実物大モックアップ。

これ、鉄道好きなご主人と大工さんで作ったそうです(!!)



さらに中へ入ります。宿泊エリアは母屋と違いスッキリした印象。でも色々なところに『電車』がちりばめられています。奥にはボルダリンクも。


お部屋探検



こちらにも「EF66」(側面)が。もう圧倒されすぎて状況を理解するまでに時間を要します(笑)

右側のドアを入ると部屋があるというので見させて頂きました。



まるで先頭車の車内のような空間!



乗務員室の窓のゴムも本物同様「Hゴム」を取り寄せ再現。カーテンのリアルなヘタレ具合も自作という気合いの入れよう。

あまりのリアルさに間違えて入ろうとする人が続出し、立て付けが怪しくなってきたとかなんとか…?



ちなみにこの部屋に入る時には電車の渡り板が。

本物かと思いきや、これも自作だそうです。



車両と車両を繋ぐ「ホロ」は本物!しかもわざわざ手間を掛け、取り外し/スライド可能なように設置したというこだわりようです。



隣の部屋は、ファミリー向けに可愛らしくなっています。生まれて初めてハンモックを体験しました。



部屋の中に電車のおもちゃがあり、床にも線路のおもちゃが埋め込まれています。



窓枠も同じように線路になっていてビックリ。ちょうど子供の目の高さになっています。



こちらの「ドミドリールーム」の部屋は、一見スタンダードな部屋に見えます。が、よく見ると電気機関車のドアがあり全然スタンダードではありません。



ドアの向こうは、宿泊エリア入口にあったEF66モックアップの裏側になり、運転台があります。窓越しに写真も撮れますよ。


夕食タイム&お風呂



さて、夕食は基本的には宿周辺の飲食店となりますが、「ほうとう作り体験」プランもいうのもあります。麺を打って作るところから挑戦!



スタッフの方々のサポートにより何とか完成。正直、期待していた以上にとっても美味しかったです。



洗面・お風呂・トイレは共用ですが宿泊客は最大でも3組までなのでほぼ被らないでしょう。とても綺麗で子ども用洗面台やハブラシもありました。



洗面台の窓にも小さい電車の模型がちょこんと。



お風呂は最新式の五右衛門風呂!

共用アメニティーが充実なので助かりました。



脱衣所にはベビーベッドやベビーバスも完備されています。とにかくお子様にも優しい!


とっておきの…



寝る前に、ご主人にとっておきの場所へ案内してもらいました。

先程もチラッと見たコレ、写真左側の扉は『本物の』EF66の扉。この宿が”鉄道宿”になったのは、全てはこの1枚から始まったそうです。

扉の中へ入ると…!?



ドーン!!

本格的な電気機関車のシミュレーター部屋になっています。



本物の電気機関車のハンドル(一部自作品)と連動した超本格的ゲームが楽しめます。

電気機関車はブレーキの掛け方がすごく難しかったです。


正直、宿の中だけでここまで時間が早く過ぎてしまうとは思ってもいませんでした。


朝も電車に囲まれ…



翌朝、富士急行線の「カンカンカン」という音で目が覚めました。古民家だからなのか、雨上がりにもかかわらず朝からからっとした気持ちのいい空気の中、朝食を頂きました。



踏切や電車の音をいっぱい『聴き』ながら…。


初めから電車ありき、ではなかった


女将さんによれば、お子様含めご家族でよくゲストハウスを使っていたそうですが、子供連れとなると断わられるところも多かった…そんなご自身の旅の経験から『子供連れでもふらっと寄れるゲストハウス』としてこの宿の構想が生まれたそう。



ご主人共々古民家が好きで、線路沿いに佇むこの古民家を見つけ、所有者と交渉したとのこと(当時、線路側はトタン塀で覆われていたそうです)。


ぽっぽや 富士

そしてせっかく線路が近く、ご主人も電車の運転士(しかも電車好き)であることから『電車が強みだよね』となり、先ほど紹介した「本物のEF66の扉」が手に入ったところから、『電車』がテーマの宿とすることに決めたそうです。


大工さんもお手上げ…


そして『電車』をテーマにするからには、とことんこだわりたい!という気持ちで大工さんと共にリノベーションや、色々な仕掛けを制作。

しかし大工さんもこれまでやったこともないことを要望されるため『???』となる事も多かったそう。なんとかコミュニケーションを取って、説得して、果てには大工さんを埼玉県の鉄道博物館まで連れてゆき、なんとか理解してもらいながら進めたそうです。


ルーバー(赤線部分)、手作りの地点でスゴいが、なんとブロワー音まで出る…


尽力した大工さんですが、それでも最後は“お手上げ”状態。女将さんとご主人、そしてその周りの方々でコツコツとDIYで細部まで仕上げたそうです。


宿泊エリアの見取り図(宿 ぽっぽやホームページより)


宿の中に鉄道が開業!?



土間に線路があったり、中庭にバラストが敷いてあったり、怪しいな…とは思っていたのですが、今後はミニ電車を走らせる計画があるそう。

あくまで“遊具施設”としてですが、母屋(駅舎)窓口でチェックイン、改札口をくぐって電車にに乗車、宿泊者自身が運転、「宿泊エリア駅」に到着という、ストーリー体験ができるようになるそうです!


よく見ると既に中庭の一部まで線路が伸びている


さらに将来的にはその先の敷地内に『足湯』を作り、足湯駅まで延伸計画もあるのだとか!


ちなみに伺った日の直後、もう早速改札口が設置れたそうで、“電車宿”の進化は止まることなく続きそうです。



宿 ぽっぽやの宿泊スタイルは、通常のホテルや旅館とは一風異なり、交流型の宿泊施設。

筆者もいわゆる“ゲストハウス”は泊まったことが無かったのですが『電車』要素が気になって泊まってみました。

1部屋単位での受付となり、1~4名/1室での利用が可能。鉄道ファンの一人旅からファミリーまで幅広くウェルカムだそうです。

とってもアットホームな雰囲気で、スタッフの皆さんも気さくに話しかけてくれて、ホテルや旅館では絶対味わえない経験ができ、忘れられない楽しい初夏の思い出になりました。リニア見学センターへも車で10分なのでオススメ!

そしてお話を伺えば伺うほど、女将さんとご主人の”リノベーション力”にとにかく圧倒された2日間でもありました。

宿の概要チェックや予約は公式ホームページからできます。また公式インスタグラムも宿の世界観が出ていてオススメです!


リンク


「宿 ぽっぽや」ホームページ

「宿 ぽっぽや」インスタグラム




記事内の情報は全て掲載時点のものです。

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