『終電後』の東海道新幹線三島駅…2018年6月5日深夜に行われた「本線上での異常時対応訓練」に密着してきましたので、その様子を写真を中心にレポートします。
本線上での異常時対応訓練って?
東海道新幹線では大規模災害や不測の事態の発生に備え、社員の対応能力・技術レベルを向上させるため、各現場での通常の教育訓練に加えて各系統の社員が参加する実践的な大規模訓練を、毎年テーマを設定し実施しています。
2018年度のテーマは…
今年度は、車両故障により駅中間(トンネル内)に列車が止まり、早期に運転再開ができない状況を想定。
熱海駅~三島駅間にある新丹那トンネルまで移動し駅員・運転士・車掌・パーサー・工務系社員・管理部門の社員等、約317名が参加。
車掌とパーサーが連携し、出張等で乗り合わせた社員と協力して乗客を隣接線路に横付けした列車に乗り換えてもらう、という訓練を実施しました。
また車掌による床下点検の訓練では、「異常時の対応力の向上」などを目的に昨年度中に導入したスマートフォンのテレビ電話機能を使用し、指令員と情報を共有しながら点検を行いました。
終電間近の新幹線三島駅に潜入
23時すぎ。もう当駅止まりの列車到着を待つのみとなった東海道新幹線三島駅に入ります。
終電が終わった三島ホームには、スーツ姿の方など300人(訓練参加者)がスタンバイしていました。
そんな中、故障となる想定の車両が入線。
訓練列車が出発…
車両に乗り込みます。普段は色々表示されている案内表示器なども非表示でぐんぐん加速してゆきます。
…と、発車して5分くらい経った所で、急停車。乗務員さんが慌ただしく動きます。
3号車で異音や臭いがしたと乗客からパーサーに申告があり、駆け付けた車掌が異音を認め、3号車の非常ボタンを押して、運転士が非常ブレーキをかけた、という流れでした。
救援車両が到着
トンネル内で停車したまま、故障により走れなくなった想定の車両(写真左)。
隣接線路に救援車両がやってきて(写真右)、横付けされました。
渡り板が設置され、乗客役は救援車両へ移動を開始しました。
ちなみに異常時の新幹線に乗り合わせた社員は、携帯しているという救護ステッカーを貼り、乗客に関係者だと分かるようにした上で、救援活動に協力するそうです。
救援車両に移動しました。次の訓練を行うため故障想定車両は三島駅へ戻りました。
台車点検訓練
次は台車点検訓練です。
初めて新幹線のトンネル内の線路上に降り立ちました…
車掌がスマートフォンのテレビ電話機能で指令員と共有しながら点検を実施しました。
テレビ電話時、今回試験的に自撮り棒も使われました。
新丹那トンネル内に停車中のN700A。
電動車いす対応渡り板訓練の様子
この後訓練場所を三島駅に移動。
救援車両は三島駅本線(通過線)に停車。ホーム側に停車中の車両との間に電動車椅子対応の渡り板を設置し、電動車椅子での移動訓練などが行わなれました。
異常時対応訓練はこれで終了となりました。
関連記事
新幹線N700SとN700Aの違いを写真で徹底的に比較してみた(2018/05/12記事)