大地震が起きたとき、鉄道会社はどう対応?東京メトロの訓練に密着

  • 公開 2016.10.27

【10/28 18時 記事更新完了しました】


いつ起こるか分からない大地震などの異常事態。鉄道会社によっては『もしも』に備え、大規模な訓練を行うことがあります。

今回、東京メトロの「異常時総合想定訓練」を見てきましたので、その様子をレポートします。



4月開所の最新施設で実施


今年度の訓練は、2016年4月に開所した同社の総合研修訓練センターで初めて実施。 ホーム、 トンネル、 架線、 電気設備、 信号設備など営業線に準じた設備があるため、より実際に近い形での訓練が可能になりました。


地震で電車が脱線した場合を想定


今回の訓練では、日比谷線茅場町駅~人形町駅間走行中の列車が、 地震により脱線・架線損傷したと想定して乗客の駅への避難誘導、 架線復旧を中心とした訓練を行います。


訓練の流れ



開始の挨拶ののち、訓練が始まりました。



日比谷線に見立てた訓練車両がやってきましたが、ここで大規模な地震(訓練)が発生。列車は急停止しました。



2号車の台車が脱線した想定です。



車外に脱出を試み、けがをされた方がいるようです(重傷者1名、軽傷者2名)。



運転士が連絡を取り合います。



万が一の2次災害を防ぐため、発煙筒をたいて防護措置をとります。



乗務員が車外脱出者の怪我の程度を一旦確認します。また、各車両の台車の状態も確認していました。



運転士と車掌で一度状況の共有を行っていました。



駅から救援が到着、現地対策本部が設けられました。一方、車両・設備点検・復旧のため技術区からは緊急自動車・二輪車でこちらへ急行しています。



車外脱出者を待機させます。



非常用電話で状況の伝達などを行います。

しきりに「車内は安全です。中でお待ちください!」と案内がありました。



救助隊が到着しました。



車内の負傷者(重傷者想定の人形)が運び出されました。



続いて、車内軽傷者が乗務員ドアから外に出てきました。



車両前面の貫通扉および前方のドアに梯子を設置。



乗客の最寄駅までの避難誘導が始まりました。



避難誘導時には、今回新たな試みとしてメガホン型多言語翻訳機「メガホンヤク」により、日本語のみならず英語・中国語・韓国語でも一部案内が行われました。

今後ますます外国人乗客が増えてゆく中で、このような取り組みも重要になってくると感じました。



一時避難する駅に到着しました。



改札外まで向かうとの事です。



改札の外の一時避難場所が開設されました。

あくまでここは帰宅困難者のための一時避難場所で、区などの「本避難所」が開設され次第、そちらに移動してもらうことを想定してるとのこと。

ちなみに乗客役は同社社員のほか、東京メトロの『お客様モニター』からも約40名が参加しました。



なお、東京メトロ全駅あわせて10万人分の、一時避難時用の水・ブランケット・携帯トイレ等が備蓄されています。



現場では技術区による設備点検や脱線からの復旧準備が行われていました。



一方駅係員は、線路上にまだ避難していない人がいないかどうかを確認。

何度も「お客様いらっしゃいませんか」と繰り返し確認しているのが印象的でした。



脱線により、碍子も破損したという想定で、碍子交換作業の訓練も行われました。



架線の送電停止を確認後、梯子を使って屋根に上り交換作業を行います。想定所要時間は30分間とのこと。



声を掛け合いながら迅速に交換が行われる様子が見られました。



最後に、利用者目線で今回の訓練を見て感じた事をご紹介します。

今回の訓練では地震発生から車外への避難開始まで50分位ありました。しかし実際はもっとかかるかもしれません。

車内にいると外で何が行われているか見えにくく、待っている間「どうなっているのか?」と感じたり車外に出たいと思う方もいるかもしれませんが、今回、外から一連の流れを俯瞰的に見学し、「安全に乗客を待機・誘導」させるために様々な動きが行われることが分かりました。



運転手と車掌、駅務員らにより、救護の必要性の確認、車内・車外の安全確認と手配、応援要請、伝達ミスを防ぐための復唱など沢山の手順があることを改めて感じました。

同時に、大きな地震などが発生した場合はこような手順が踏まれるので、みだりに車外へ出ることは危険であり、冷静に車内で乗務員の指示を待って行動するのが最も安全だということを再認識しました。


記事内の情報は全て掲載時点のものです。

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