【2022/1/12】記事後半に第2回運行の写真を追加しました。
2021年10月6日、静岡県の伊豆急行線に「買い物列車」が走りました。スーパーマーケットを走らせるという、ユニークな電車の中身は…!?実際に買い物を体験した様子をレポートします。
「買い物列車」とは、移動販売車(移動式スーパー)の電車バージョン。
伊豆急行線の沿線には、コンビニエンスストアやスーパーマーケットが近隣に無い地域があります。そこで生鮮野菜や日用品などを載せた電車が、そのような空白地帯かつ長時間停車可能な駅に停車(各駅約30分~1時間程度)し停車中の車内で買い物ができるようにする、という試みです。
この「買い物電車」は東京都市大学のユニバーサルデザイン研究室による研究活動の一環として実験運行。企画から当日のオペレーションまで、研究室の学生たちが行っているのも特徴です。
早速、ホームに停車中の「買い物列車」に入ります。利用のための駅入場は無料(参加証を配布)。入口で検温・消毒をしてから車内へ。
車内で買い物かごを受け取り、お買い物スタート。
ロングシートの上に商品がズラリと並ぶ様子は新鮮です。
生鮮野菜や…
調味料やお菓子類、
ティッシュなどの日用品、
さらには東京・神奈川の名産品まで…
実に豊富な品揃えでした。
会計レジも学生たちが行います。入り口と反対の乗務員室側で現金のみで行っていました。
学生さんに企画の経緯を聞いてみました!
今回の企画を行った東京都市大学ユニバーサルデザイン研究室の、ゼミ長 小山田祥さんに企画経緯などを聞いてみました。
Q:どうしてこのような企画を考えたのですか?
小さい頃から電車で遊びに来ていた伊豆半島が大好きで、研究室で伊豆半島のユニバーサルデザイン(誰もが使いやすいサービス・デザイン)研究をしたいと思っていました。
東伊豆の町役場に行き、同役場が行ったという「お困りごとアンケート」の結果を見せて頂いたところ、「買い物」の問題(近所にスーパーが無いなど)が多いことが分かりました。
Q:なぜ、電車をスーパーにしようと思ったのですか?
車による移動スーパーなども考えられますが、初見ではどの辺でやっているか分かりにくい点、またインパクトに欠けるということで、電車をスーパーにして、駅で開催しているとなればだれでも場所が分かるのではと思いました。
また、電車であれば、広い店舗まるごと色々な地区を跨いで素早く移動できるので、お客様自身が地区を超えなくても買い物ができると考えました。
Q:大変だったことはありますか?
限定商品(東京みやげ)を売るにあたって、ブランド企業様に売っていいかという交渉をしましたが断られることが多く、探すのが大変でした。
また、商品の調達費用は私たち学生のポケットマネーなんです。3人で7万円分くらいの商品を自腹で仕入れました。
Q:実際に開催し、手ごたえはどうですか?
多くのお客様で賑わって、楽しんで頂けてよかったです。ただ想像以上で会計が滞ってしまいました。雨の場合も考え車内にレジを置きましたが、次回はホームの複数個所にレジを増やしたいです。反省点ふまえて2回目も開催できたら、と考えています!
大盛況だった買い物列車
今回取材した販売駅は、伊豆大川・片瀬白田の2駅。いずれの駅も、買い物列車を心待ちにしていた地元の方たちで大盛況でした。この後、稲梓駅・蓮台寺駅でも行われ、この日は計4駅で電車スーパーが"開店"しました。
地元の方々が楽しそうにお買い物をされている様子が印象的でした。沿線の過疎化・少子高齢化などに直面している(特にローカル)鉄道の新たな役割、存在価値の可能性を感じた列車でした。
【追記】2022/1/12 第2弾が運行されました
前回より、商品の種類や品数が大幅にパワーアップしました。
新たに文具の取り扱いも。
会計は、前回の1か所→2か所に増設。
3両のうち1両は、伊豆急物産が新たに協力、干物や酒類、お弁当・パンが登場。特にパンは100個仕入れたものの、取材時点でほぼ売り切れになるほどの人気ぶりでした。