「鉄道模型」の魅力の一つに「ジオラマの世界」がある。
鉄道模型と同じスケールで、線路の周りに街やビル、道路、山などを再現するもので、鉄道模型の世界がぐっと華やかになる。
2014年2月22日には、新たに巨大な鉄道模型ジオラマが都内に誕生する。
大手鉄道模型メーカー直営のショールームが”リニューアルオープン”するのだ。
リニューアルにあたり、新規で大型ジオラマを2か所の工房で制作しているということで、その制作現場に潜入取材!
精巧なジオラマができるまでの貴重な裏側の世界をご紹介する。
巨大ジオラマならではの工夫がいっぱい!
1軒目の工房では”建設中”のジオラマに囲まれながら、制作現場ならではの貴重なお話を伺うことができた。巨大ジオラマゆえの気遣いや工夫が、そこにはあった。
とにかく「メンテナンス」ができるように
大型レイアウトでは複雑な配線や機械部品も膨大になる分、例えば部品を交換したりする必要も出てくる可能性が高い。そこで、メンテナンスがしやすいように、様々な仕掛けがしてあった。
線路わきに立てられる「架線柱」は、固定すると誤って触れて折れやすい事から、マグネット式になっている(HOゲージのみ)。
また地下の線路なども、通常は杭で固定するところをマグネットで固定し、外しやすいようにしている。
電気部品が多く、配線も複雑になることから、あらかじめジオラマのボードには無数の穴をあけて置き、配線が絡まずにスムーズに通るようになっていた。
より、お客さんに楽しんでもらうために
見る人を楽しませる工夫も満載だ。
鉄道模型ジオラマでは、四角形のボードを組み合わせるのが通常だが、今回は半島型となっている。こうすることで、より色々な種類の景色を作ることが出来るという。
そのほか、お子様たちが、手や顔(あご)を乗せながらジオラマを眺められるような柵の設置をするとのこと。
市場に流通していない木の模型を使う!
この桜の模型は建築模型のデザイナーが手作業で作った非売品のもの。
担当者がかつて花の輸入をしていたことから、模型のほうでも花にはこだわったという。
ミニジオラマ制作経験のある筆者も、こんなにリアルで立体感ある模型の木は見たことがなかった。ショールームのジオラマでも、抜群の存在感を出すことだろう。
模型看板デザイナーは本物の看板デザイナー
これらの図面や路面、看板などのデザインは、本物の看板やチラシなどをデザインしているデザイナーさんによるもの。
ご本人曰く、「"1分の1"も、"150分の1"でも、同じことをやってます」(笑)
山や街ができてゆく瞬間
2軒目の工房では、山の緑や、さび色のついた、リアルな線路を垣間見ることができた。
「世界遺産」を模型の世界で探検
こちらの制作者曰く、「世界遺産を置きたかった」とのことで、岐阜県の白川郷の合掌造りを再現中との事。
こちらは製品ではなくオリジナル制作によるもの。
模型制作に「条件」が付けば付くほど・・
制作は大変か伺ったところ、「(好きな事なので)やってるのは楽しい」との事。また、「条件を付けられればつけられるほど燃える」とのこと(笑)。
さまざまな制限のある中で、いかにワクワクする小さな世界を作れるかが、職人としての腕の見せどころなのだろう。
2か所の工房を取材して、最も印象的だったことは製作者全員のジオラマ制作へのこだわりや情熱がとても大きく、色々な事を語って頂いたり教えて頂いたりした。
また取材中には、こんな議論も。
- 工房から、鉄道模型メーカーへ「こういう(成形の)製品を出してほしい、そうすれば、こんな使い方もできる」
- 鉄道模型メーカーから工房へ「工房で製造しているキット製品を組み立てるワークショップなども開催しては」
この巨大ジオラマプロジェクトを通して、新たな発想の製品や、面白い企画が生まれそうな予感を大いに感じた。
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取材協力:カトー
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