“エヴァ新幹線”がリアルなNゲージに!その開発現場に潜入してみた

  • 公開 2016.07.28

2015年11月。その大胆な装いとアニメ「エヴァンゲリオン」をテーマにした世界観で大きな話題となった”エヴァ新幹線”こと「500 TYPE EVA」。


“エヴァ新幹線”がNゲージ鉄道模型に!その開発現場に潜入

“エヴァ新幹線”がNゲージ鉄道模型に!その開発現場に潜入


この夏、鉄道模型のパイオニア「KATO」よりNゲージ鉄道模型となって登場するということで、製品を開発している工場を直撃取材してきました!



やってきたのは埼玉県鶴ヶ島市にある、KATO(関水金属)埼玉工場。



工場の正門を入ると、本物の電気機関車のカットモデルが鎮座!テンションが上がります。



社員の方にご案内いただき、工場内のジオラマエリアに来てみました。高架橋の上を走っているのはもしかして・・・!?



“エヴァ新幹線”だ!



まさに実車で見たあの車両!



置かれていたケースもエヴァ仕様!


KATO“エヴァ新幹線”開発秘話


「500 TYPE EVA」エヴァンゲリオン初号機塗装タイプ8両セットについて、開発担当の方にお話を伺いました。



工場の会議室の一室にお邪魔すると…まさに印刷について議論している最中でした。図面もカッコイイ!


製品史上最高の印刷難易度に挑戦!


まず開発担当者の大変だった点として開口一番、車体の「印刷」が挙げられました。



印刷はスタンプのように車体に押し当てます。車体にフィットするよう、スポンジのような少し柔かい素材(上写真の薄黄色のもの)になっています。



通常の鉄道模型の車体面はほぼ平面なので垂直に押し当てて印刷ができますが、この「500系」新幹線は車体断面が丸い上に先頭部分は鋭い流線型。



それゆえ、押し当てる部分が伸びたり曲がったり。それにより印刷部の角度や面積が広がったりずれたりします。

一度やっては修正、やっては修正…の繰り返し。その回数は過去最高となりました。



また通常は「窓から○mmに印刷」といった寸法管理ができますが、エヴァ新幹線はもはや『寸法基準』がない状態。



社内一の“スゴ腕”が『まったく先が見えない…』と言ったとか…挑戦を始めて1か月、次第に慣れて面白くなってきたそうです。


今までにない印刷工程の数と厳しいチェック体制


通常の「500系」製品先頭車では印刷が10工程前後であるのに対し、今回の先頭車は40前後もの工程数に。



また本来、ある程度工程が進んでからされるチェックも、エヴァ新幹線では印刷1行程ごとに現物を厳しくチェック。


取材中にも現場の印刷担当者がやってきてチェックが始まった


1工程ごとにデザイン・色それぞれの責任者がルーペでイメージ通りの仕上がりか確認し、承認印を押してゆくというこれまでにない方法がとられていました。


実車に忠実すぎる色はNG!?悩みぬいた末の色合い


塗装・印刷の「色合い」を決めるのも大変だとか。



模型は色の面積が小さいため、実車と完全に同じ色では暗くなりがちなのです。そのため『実際に目で見た印象』になるようアレンジが必要。



加えて実車はその時の天気や、見る場所(ホームなど)の条件によっても色の印象が変わります。どこで見るイメージにもっていくかも悩みどころの一つ。



ちなみに「曇りの屋外」で観たイメージに仕上がっているそうです。特に黄緑色に関しては様々な明るさを作り議論を重ねたとか。



また実車の写真資料を拡大してチェックしていたところ、車体下部に小さく表記されている車両番号の色が黒ではなく緑だったという発見もあり、模型でもちゃんと緑色で再現しているそう。

(ルーペで見ないと色が分からない位小さいですが…)


パッケージは山下いくと氏の描き下ろしデザイン


中身にこれだけこだわったので、パッケージもクオリティを落とさないよう力をいれたとのこと。



スリーブ(一番表の外紙箱)は、山下いくと氏のオリジナル描き下ろしイラストのデザインに。また紙質も通常の同社製品より厚いものを使用し、コーティングで艶を出しています。


ケースもエヴァ特別仕様


そして中の車両ケースもエヴァの世界観にあわせ「黒色」に(同社初)。ケースの文字も“エヴァ”らしいものに。



細かいロゴもつぶれることなく美しく印刷できるよう、通常は行わない『ケースに近しい素材での試し刷り』も行って検証するこだわりようです。


エヴァファンによる実車解説入り説明書も必見


中に封入される製品説明書もエヴァンゲリオンのフォントになる予定。また1ページ目の実車紹介は社内一のエヴァンゲリオンファンが書いたそうです。


おわりに


鉄道・模型ファンのみならずエヴァファンにも楽しんでもらいたいという同社の熱い思いがそこにはありました。



印刷技術を総結集した車体やその色、そして車両のみならずパッケージ、ケース、説明書など全てひっくるめてエヴァの世界観を手に取って味わってみて下さい。



この“エヴァ新幹線”は1両1両デザインが違いますが、8両連結するとデザインがつながって一気に迫力が増します。精密な鉄道模型ならではの『フルデザイン』といった視点でもぜひ楽しんでみてくださいね!



どうしたら買えるの?


KATO 500系新幹線「500 TYPE EVA」エヴァンゲリオン初号機塗装タイプ 8両セット(税込¥30,000)は、下記3つの方法で販売されます。


①「鉄道模型コンテスト」会場(8/6・7東京ビッグサイト): 1000セット先行販売(完売後は会場で受注販売)


②WEB予約(7/1~8/31まで):希望者が生産数を上回った場合は抽選販売(会場受注販売分が優先)


③コンテスト会期後に「ホビーセンターカトー東京店」「KATO京都駅店」「KATOオンラインショップ」「EVANGELION STORE」で取扱い(但しイベント時の受注販売台数によっては販売しない場合もあり)


予約方法など詳細は、同社の製品特設サイトに掲載されています。


KATO 500系新幹線「500 TYPE EVA」タイプ 特設サイト - KATO特設サイト


(C)カラー
JR西日本商品化許諾済

※写真はいずれも試作品です。

撮影:福岡誠
一部画像提供・取材協力:KATO


関連記事


エヴァ新幹線「500 TYPE EVA」お披露目 山陽新幹線で”発進”




@tetsudoshimbun - 公式Twitter

鉄道新聞Facebook - 公式Facebook



「鉄道新聞」は登録商標です。


記事内の情報は全て掲載時点のものです。

  • 最新情報をいち早く入手!
  • 楽しい動画を発信中!
  • 今すぐ旅がしたくなる!