5時間40分飽きない急行「飯田線秘境駅号」に乗ってみた

  • 公開 2019.12.30

2019年11月24日、秘境駅を巡るJR東海の臨時急行列車「飯田線秘境駅号」に乗ってきました。その様子を写真を中心にレポートします。



記事後半では、担当者・乗務員さんインタビューや飯田線秘境駅号攻略まとめもありますよ!


飯田線秘境駅号って?


愛知県の豊橋駅と長野県の飯田駅を結ぶ、春と秋に運行されている臨時急行列車。JR飯田線に多く点在する魅惑の『秘境駅』を楽しめる人気観光列車です。


駅ポスター


秋運行では紅葉の彩りにより一層秘境感が増す8つの秘境駅を探訪できます。また、地元の方々や駅員・乗務員によるおもてなしも楽しみの一つ。


飯田線秘境駅号のダイヤ/時刻表(2019年秋運行分。柿平駅は新規停車駅)


今回は下り(豊橋発飯田行き)に乗ってみます。実に5時間40分かけて秘境駅を巡ります。


ホームにジオラマ出現!



ホームに運ばれてきたジオラマ。駅員さん3人が1ヶ月半かけて制作した渾身の作品!


飯田線秘境駅号が入線



発車時刻が迫ってきました。



飯田線秘境駅号がやってきました!「373系」3両編成です。



小和田駅がモチーフの特製ヘッドマーク。右に描かれている青い電車が、かつての飯田線車両(119系)なのがシブいですね。


飯田駅を出発



9時50分、いよいよ発車!ホームや車両基地付近では沢山の社員さんたちによるお見送りがあり気分も上がります!




この他にもユニークな車内アナウンスが盛りだくさんで、長旅を面白く盛り上げてくれます。



ちゃんとガイドも貰え、各停車駅の見どころも予習できます。


新城(しんしろ)駅



最初の停車駅、新城駅に到着。まだ秘境駅ではありませんが、、



24分の停車中、駅では特産品の買い物を楽しめました!



数量限定の奥三河バーガー(イノシシのコロッケバーガー)が美味しかったです!



お土産にかりんとう饅頭を購入。


宇連川(うれがわ)の車窓


いよいよ、人里離れた山奥へと列車は進んでゆきます。途中美しい車窓の場所では徐行運転もしてくれます。



車内アナウンス『進行方向左側お座りの方すいません。今度景色良いのは右側です。』


柿平(かきだいら)駅



そしてついに飯田線秘境駅号1つ目の秘境駅「柿平駅」に到着!5分の停車時間ですが、踏切まで散策できました。



柿平駅は今回から初めて飯田線秘境駅号が停車するようになった駅です。うん、中々の秘境感。


東栄(とうえい)駅



次の停車駅、東栄駅では約10分の停車。



秘境駅ではありませんが、駅舎が鬼でユニーク‼️



この駅でも特産品販売がありました。



原寸大ヘッドマークシール


飯田線秘境駅号の乗車記念品として原寸大ヘッドマークシールを頂きました。乗る前に先頭車で見たやつだ!



原寸大とあり、本当大きい!ヘッドマーク部分はシールに。使い道に関しては、『冷蔵庫や車のボンネットに貼ってみてはいかがでしょうか』とのことでした(笑)


大嵐(おおぞれ)駅



次の停車駅、大嵐駅は前後トンネルに挟まれた駅。



ここでは16分停車。ちなみに停車駅では長距離バスのように発車時刻プレートを表示してくれます。



ここから線路は美しい天竜川沿いになります。紅葉も綺麗。


小和田(こわだ)駅



2つ目の秘境駅に到着。20分の停車です。もう駅名標がイイですね…



ザ・秘境駅、小和田駅。



そして無人駅の小和田駅、35年ぶりの駅長就任。



乗客の中から抽選で選ばれたお子様が「一日駅長」に!他の乗客の皆さんに記念入場証を渡しました。


小和田駅前のミゼット

小和田駅前のミゼット


駅前に、時代の止まった「ミゼット」が…



そして木造の廃屋。実はここは製茶工場だったのです…!
今は秘境駅のココも、かつて人の営みがあったことを感じさせられます。



そしてホームには、3県の県境であることを示す看板も。さすが小和田駅は“濃ゆい”です。


中井侍(なかいさむらい)駅



次に止まった駅は秘境駅、中井侍駅。9分停車。



線路脇からいきなり茶畑、そしてその下には天竜川が広がります。


飛び出す乗車証明書



飛び出す乗車証明書も頂きました。可愛い!


伊那小沢(いなこざわ)駅



続いても秘境駅、伊那小沢駅。9分停車です。



ホームから天竜川と山の景色が美しいです。



無人駅にポツンとあるカード専用公衆電話が謎の存在感を出していました。

…使えるのか?とザワついていると、テレホンカードを持っている乗客が出現。



つ、つながった!


平岡駅


周辺に建物が見える駅に来ました。平岡駅。



“秘境駅”ではありませんが、約28分の停車中、下伊那地区の各市町村の地元特産品販売などを楽しめます。



あまご塩焼き」を食べました。
また、地元の方々による舞踊のおもてなしも。



他にも美味しそうなものが沢山…


為栗(してぐり)駅



さてまた秘境駅に入っていきます。為栗駅。


16分間の停車の間に、吊り橋から飯田線秘境駅号を眺められます。



田本駅



その次も秘境駅、田本駅に17分停車。すごいところにホームがあります。



トンネルの先にすぐトンネル。



断崖絶壁ホームと飯田線秘境駅号が一緒に撮れるスポットがありますが道が細く、停車中に行ける人数が限られますので、行きたい方は早めに向かいましょう。



さらに北へ進んでゆきます。飯田線秘境駅号と天竜ライン下りの出会い!


金野(きんの)駅



飯田線秘境駅号下り最後の2つ秘境駅、金野駅と千代駅。縁起の良い駅名ということで皆駅名標を触っていました。


千代(ちよ)駅




千代駅は天竜川から採取した砂利を積み込んでいた線路の跡(写真右側の地帯)があります。


飯田駅


15時30分、飯田線秘境駅号は終点飯田駅に到着しました。



5時間40分の旅でしたが、楽しい車内放送におもてなし、8駅もの秘境駅探検と、あっという間でした。


企画担当者に聞いてみた!


2020年春に運行10周年を迎える飯田線秘境駅号。企画担当者に少しお話を伺いました。


飯田線秘境駅号、どうして生まれた?


『秘境駅が鉄道ファンに大きく注目され始めた頃、特にJR飯田線には秘境駅が沢山あるものの、回ろうとすると1日も2日もかかる。それを効率よく回れるような列車を作ってみてはどうか…ということで企画したのが始まりです』


JR東海の企画担当者


今回特に力を入れたのは…


今回は①小和田駅の1日駅長企画 ②飛び出す乗車証明書 ③柿平駅新規停車という3つの新企画も用意。半年くらい前から時間をかけて準備してきたとのことです。


大変なのはダイヤ調整


『ダイヤはかなり前から練ります。秘境駅である程度の停車時間を確保しないといけない。さらに飯田線は単線なのでかなり工夫して考えます。』

今回から柿平駅も新しく停車駅になったのでその時間も確保しつつ、従来の停車駅も魅力を落とさないようにダイヤを調整するのが大変だったとのこと。『柿平駅でお客さんが喜んでいる姿をみて、やってよかったと思いました』


10周年に向けてさらに新しい仕掛けもやりたいとのことで鋭意検討中だとか。盛大にいきたい!と意気込んでいました。


乗務員さんにも聞いてみた!


今回乗った列車には実際の運転手・車掌に加え、3名のおもてなし乗務員が乗務。少しお話しを伺うことができました。


『飯田線秘境駅号の乗務員は同じ人ではなく毎回変えているんですよ』

そう教えてくださったのは中邑守 営業助役。ユニークな車内アナウンスについては、『本来車内放送はきちっとしたいところなんですが、お客様の客層を見ながら、楽しんで頂けるよう、ざっくばらんな放送を心がけています』とのこと。


左から 中邑守 営業助役、朝倉なるみ 車掌、伊藤大輔 運転士


『入社して長いですが、こんな雰囲気の列車は初めてでした』と話すのは伊藤大輔 運転士。今日が今までで一番お客様との距離が近い列車で、自分も楽しみながら乗務したとのこと。

『紅葉シーズンは、落ち葉が線路に落ちると車輪が滑りやすかったりブレーキが利きにくかったり、実は一番神経を使う時期でもあるんです』とのことです。


『女性は(乗務員設備上)飯田線に乗務する機会がないため、美しい景色が新鮮でした』と話すのは朝倉なるみ 車掌。各駅では乗客の記念撮影のお手伝いなどおもてなしをされていました。


飯田線秘境駅号の攻略ポイント


筆者が実際に乗って、乗る前まで疑問だったことや気付いたこと、感じたことなどをご紹介します。


長時間で疲れない?


5時間40分の旅でしたが、変わりゆく車窓に秘境駅、そして車内や駅でのおもてなしと、見所多くあっという間で『もう終点!?』という感じでした。


そして車内アナウンスが楽しくて飽きません。本当に自分は今JR東海の列車に乗っているのか!?と考えてしまうほど…個人的にはこれ聞くだけでも乗りに行く価値あります。

また、電車を長時間待つこともなく手軽に回れるとあり、幼稚園~小学生くらい連れのファミリーの乗客も沢山見かけました(小和田駅では先程紹介した一日駅長イベントも!)



10分~数十分ごとに適度に外に出る機会があり、座りっぱなしではないので全然疲れもありませんでした。駅では発車時刻プレートを持った車掌さんが待っていて、まるでバスツアーのよう。もちろん停車中は車内にいてもOK。自分のペースで楽しめます。


飲み物や食料は?


車内に自動販売機はありません。途中の秘境駅は秘境駅ゆえ、飲料自販機すらないので飲み物の事前購入は必須です。秘境駅ではない停車駅では自販機がありましたが、停車時間にご注意を。



食べ物については、今回は新城駅でバーガー(ただし数量限定)やお菓子、平岡駅では塩焼きなどはありましたが基本的に昼食は用意したほうがいいでしょう。ある程度食べて、特産品を少し食べ歩きできる程度お腹に余裕持たせておくのが理想かも!


トイレは?


秘境駅はトイレもありません。飯田線秘境駅号の車内にトイレはありますが1つのみで、常時かなり混んでいたので乗る前や、秘境駅ではない停車駅でしっかりすませておきましょう。


人気(ひとけ)がない所こそ秘境駅では?


確かに各秘境駅で乗客がどっと降りて散策するので、静けさは無いです。ただ普通に秘境駅を訪れようとすると列車が1日数本しかなく何もない所で長時間待つことになります。

時間が限られてるけど秘境駅をこの目で見て歩きたい方、ファミリー、あまり長く歩けないけど空気の綺麗な山の中のハイキング気分を味わいたい…そんな方々には本当楽しめる列車になっていますし、この列車がなければこれらの秘境駅に出会えなかった方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。


途中の秘境駅の時刻表はご覧の通り


本当に人気(ひとけ)のない秘境駅を求めるのであれば、普通列車でじっくり味わってみることをオススメします!


終点飯田駅到着後はどうすればいい?(飯田行きの場合)


長野県飯田市って日本一焼肉店が多い街なのをご存知でしょうか?

駅周辺にも美味しい焼肉店がいっぱいあります。珍しい部位を扱ってる店も。ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。ただし服にニオイが付くかもしれないので携帯用ミニ消臭スプレーがあるとベストですね(筆者経験談)


人気店は予約しないと入れない場合も…!


ちなみに筆者は焼肉を食べた後、せっかくなので飯田駅からさらに普通列車で北上し岡谷まで行き、営業キロで195km以上ある長い長い飯田線区間をその日のうちに全線完乗してしまいました(2度目の完乗)。さらに岡谷から最終「あずさ」で新宿へ戻りました。



どうやったら乗れる?


毎年春・秋の2シーズン数日ずつ運行されます。全車指定席ですので乗車券のほかに事前に指定席券が必要です。飯田線秘境駅号はリピーターもかなりいるほどの人気列車で、全列車、指定券発売日(運行日1ヶ月前)にすぐ完売してしまいます。

運行日はJR東海の駅ポスターやホームページのリリースで発表されるので、早めに予定を立て、1か月前に駅の窓口などで指定席券を買いましょう(それでも取れないことも)

予定が柔軟に動かせる方はキャンセルを狙うのも手です。意外と数日前にポッと空いてたりもします。



なお、旅行商品のほうが確保しやすいです。1か月以上前に予約でき、宿付きでゆったり現地観光もできるのでおすすめです。
旅行商品はこちらのページで、運行シーズンが近づくと掲載されます。



さいごに


先日乗った中山道トレインもそうでしたが、専用車両でない分ハード的な意味では華やかさには欠けるかもしれませんが、その分ソフトのお楽しみがすごいです。

そもそも列車として楽しいです。現場の社員・乗務員さんの手作り感と、楽しい感じがこちらまでひしひしと伝わってきます。

表面的な情報では中々伝わらないと思いますので、少しアクセスが大変かもしれないですが、ぜひ一度実際に乗ってみて感じてほしい列車です。


関連記事



JR東海の急行「中山道トレイン」が遊び心とおもてなし満載だった(2019/11/16記事)






記事内の情報は全て掲載時点のものです。

  • 最新情報をいち早く入手!
  • 楽しい動画を発信中!
  • 今すぐ旅がしたくなる!


  • 鉄道新聞®トップページへ