【追記】企画展「特別展 天空ノ鉄道物語」は終了しています。
また、『本拠地』糸魚川駅での展示がスタートしました→レポート記事はこちら
東京・六本木ヒルズ森タワー52階で行われている鉄道の企画展「特別展 天空ノ鉄道物語」の内覧会に行ってきました。
前半では写真を中心とした内覧会の様子、記事後半では監修者の川西康之氏に裏話や想いを伺いましたのでご紹介します。
「天空ノ鉄道物語」って?
JR7社や東京メトロ、東京都交通局など各社局全面協力の大型の企画展。
監修者は建築家・デザイナーの川西康之氏。2020年5月デビュー予定のJR西日本長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」や、新潟の観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」などのデザインも担当しています。
会場の様子
電車のドアがいっぱいあるよ…#天空ノ鉄道物語 pic.twitter.com/OkNdqVw2fK
— 鉄道新聞®︎ (@tetsudoshimbun) December 2, 2019
なぜ“実物大トワイライトエクスプレス”は生まれた?
『このレプリカは、そもそも3年前に大規模火災があった新潟県の糸魚川(いといがわ)を元気にしようとJR西日本協力のもと作られたものなんです』
そう話すのは、本展の監修者でありこの“実物大トワイライトエクスプレス”も設計企画した川西康之氏。展示の経緯や裏話を伺いました。
どうやって造った?
『大阪・吹田(すいた)の工場で解体待ちだったトワイライトエクスプレス客車から調度品を譲り受けました』
本当は客車車体そのものを譲ってもらう計画だったものの実現ならず。そこでボディは自分達で造ろうということになり、糸魚川市産スギ材を使用し、地元の大工・職人が一生懸命製作したとのこと。
車内の調度品は「ホンモノ」。さらに、方向幕はJR西日本の関連会社に、本物と同じ作り方で作ってもらったとのことです。
『鉄道』がプロジェクトを『繋げた』
そんな話をまったく違う今回のプロジェクト(天空ノ鉄道物語)で主催社の方と話した所、それをもってこれないか?となり、検討した結果持ってこれそうだ!となったとのこと。
6分割して、六本木ヒルズ森タワーのエレベーターに乗れる大きさに設計し直し、完成後糸魚川市からココ、六本木へ。
なんとか運び込むことができ、実物大トワイライトエクスプレスは糸魚川市の協力を得て奇しくも六本木の52階で初お披露目となりました。
『鉄道というコンテンツを使って火災からの復興および寂しい駅前を今一度元気にしようと取り組んでる人たちがいるんだ、ということをぜひ知って頂きたい。だから、ここ(六本木)に糸魚川という自治体が主導した取り組みを展示しています』
このレプリカは現在同氏がデザインを手掛けている、新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の担当者を中心に全面的にJR西日本にも協力してもらっているとのこと。
結果的に①大阪(WEST EXPRESS 銀河)のプロジェクト・②糸魚川のプロジェクト・③六本木のプロジェクトの3つが本当に偶然重なってこのような形になったそう。
『どうしてここに糸魚川の“トワイライト”がるんだということ、鉄道というものはこんなに新しい役割があるんだということ。
そしてこのように、鉄道に“ひろがり”があるということを、ぜひ、来ていただいた皆さんに知ってもらえたら、うれしいです』
終了後は『糸魚川行き』、車内で食事も楽しめる!?
この実物大トワイライトエクスプレスは「特別展 天空ノ鉄道物語」の会期終了後に糸魚川に戻り、2020年春ごろから本来の展示がスタート予定。
そう、だから方向幕が糸魚川だったのです。他にも糸魚川に関する“シャレ”がちりばめられています。実際に見たらぜひ号車札や車号などよ~く見てみてくださいね。
天空ノ鉄道物語では車内は入れないですが、糸魚川では無料で自由に入ることができるそう。
さらに、食堂車を模した車内では食事も楽しんでもらう計画も進行中だとか!
『地域の飲食店のみなさんに美味しいお寿司とかパスタを持ち寄り頂いて、注文したらそこに出前してもらうとか、そんなことを考えています』
地域を元気にする…それが本来のこのレプリカの役割。今はいわば“出張”で、糸魚川に戻ったら本来の役割に戻るわけです。
『ぜひ多くの方に頑張ってるというのを知って頂いたければ。そして糸魚川にも足を運んでもらえれば』
鉄道の未来を考えよう
『企画展では少し未来を考える空間もご用意しています。またメッセージコーナーでは、せっかく六本木の天空にあるので未来を語ってもらいたい。』
同氏から鉄道の未来についてのお話もちょっぴり伺いました。
『鉄道って実は斜陽産業でもあります。人口が減ってゆく中で厳しい状況です』
そんな中で、地域を元気にしようという役割であったり、鉄道に参加するという機会が増えてくるのではないか、と言います。
『合理化、合理化といわれる一方で、おそらく今後鉄道の運営あるいは駅の運営とかを鉄道会社が全部やるという時代はおそらく終わると思います。地域の人たちが鉄道の運営に加わるとか参加するとか、そういうことがたぶん必要になってくるでしょう』
『未来の鉄道って、恐らくここにいらっしゃる来場者ご自身の中にあるのではないでしょうか。』
会期中もまだまだ手を加えてゆきたいと話す川西康之氏。
本展は鉄道ファンのみならず、そして子供から大人まで楽しめるよう、多角的な展示を行うことを意識したそう。
鉄道が好きな人も全く詳しくない人も、時代の変化とともに歩み続けてきた鉄道の歴史をたどり、そしてこれからの鉄道を考えに、行ってみてはいかがでしょうか!
「特別展 天空ノ鉄道物語」の会期は2019年12月3日(火)~2020年3月22日(日) 、期間内は無休です。場所は六本木ヒルズ森タワー52階、森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリーで開催されます。