本屋の街として有名な、東京・神保町。
ここに、「鉄道ファンの聖地」と言われている書店があるのをご存じでしょうか?

東京・神保町にある書泉グランデ
その書店とは、”趣味人専用”というキャッチコピーの「書泉グランデ」さん。気になります…。ということで今回、潜入取材をしてきました。

神保町は本の街
東京メトロ・都営地下鉄神保町駅A7出口を出ると、古本屋さんや書店が道沿いにズラリ!その中を1分ほど歩き、「書泉グランデ」に到着。

書泉グランデのフロア案内
エレベータに乗ります。地下1階から7階まであり、6階を見ると堂々「鉄道」とだけ書かれています。

エレベータのドアが開くといきなり鉄道グッズが!2015年3月で定期運用を引退した寝台特急「トワイライトエクスプレス」ですね。

フロアに進むと今度は2016年3月開業の「北海道新幹線」のグッズコーナーが。はやっ!

書泉グランデ6階 鉄道フロアの店内
そしてフロアに入ります。パッと見は普通の本屋さんのフロアに見えるのですが…

よく見ると、並んでいる雑誌は全て「鉄道」だけです。

新刊・話題書コーナーも、あくまで「鉄道」。

漫画コーナーも「鉄道」

グルメ本コーナーも「鉄道」

とにかく鉄道!鉄道!!鉄道!!!
通常大きな書店でも、鉄道コーナーはせいぜい1区画くらいですが、このフロアは「鉄道」という大前提の中でジャンル別に本が並ぶという、ファンにとっては夢のような場所です。

奥には、文具コーナー!?と思いきや、鉄道グッズのコーナーです。

本来はその鉄道会社の駅売店などでしか入手できないレアグッズがたくさん!

!? 後ほどゆっくり触れることにしましょう。
今までに見たことのない数の鉄道本に圧倒され、どこから見て回ればいいか迷ってしまいました。

書泉グランデの広瀬さん
そこで、この鉄道フロアを担当している、書泉グランデの広瀬さんに、ちょっと変わった本やオススメ本・グッズなどをいくつかピックアップ紹介して頂きました。
本
①本商品より補足版の方が大きい「時刻表」

ここでは珍しい海外の鉄道時刻表も入手できます。
中でもこの「チェコ」の輸入時刻表は本商品よりもダイヤ改正の補足版の方が大きいという、変わったモノです。
②販売目的ではない本!?

この冊子は地域の鉄道を残したい有志による「記録」が目的の刊行物。そういった入手が難しい本もココでは扱っています。
③鉄道を擬人化

本来はコミケなどのいわゆる「即売会」に行かないと買えない、同人誌を発見。こちらは「路線」を”擬人化”したお話だそうです。
④”現職”の人も欲しがる…

車内補充券など特殊な券の発行記入例をまとめたものです。”現職”の方も買いに来るそう。
⑤鉄道好きアイドルの写真集

テレビでおなじみの鉄道が好きなタレントの写真集も置かれていました。本当にあらゆる「鉄道」に関する本が揃っていますね。
⑥鉄道研究会の会報

大学などの鉄道研究会やサークル発行の本まで取り扱っています。あくまで大手出版社の本と同じ棚に並んでいるのがおもしろいですね。
⑦鉄道に詳しくなくても楽しめる本たち
コアな本も多いですが、一方で詳しくない方でも楽しめる本も沢山揃っています。

「青春18きっぷ」発売時に全国のJR駅で掲げられるポスターの写真を1冊にまとめたもの。写真の美しさとキャッチコピーで毎回注目を集めています。これを読めばきっと旅に出たくなるでしょう!

特に女性に人気の本。よく見かけるあの鉄道系キャラクターが大集合!癒されそうです。

全国各地に増えつつある、”乗る事自体が楽しい”観光列車をまとめた一冊。とくに若いお母さんに人気だそうです。

なかなかお目にかかれない、各県のタウン情報誌。地元の隠れた名店・名所の情報が得られそうですね!
スタンプ台帳
JRを中心とした多くの駅には「駅スタンプ」があるのをご存知でしょうか?こちらはそのスタンプを押すための台紙です。

左はノートタイプで、携帯がしやすいのが特徴です。
一方、右は「書泉」のオリジナル商品で1枚1枚剥がれるようになっています。
これは、担当者の広瀬さんがスタンプを押す際、慌てて上下さかさまに押してしまい、そのページを見るたびに悔しいという経験から作られたものだとか。

このようにあとで自分の好きな順番に並び替えてファイリングすることも可能です。
今後はこのような台紙用ファイルや、台紙を何枚か入れて携帯できるケースなどを作りたいとのこと。
DVD
本だけでなく鉄道関連のDVDも沢山売られています。

最近では鉄道イベントを収録したものや鉄道会社さんの解説入りのDVDや、普段立ち入る事のできない「車両基地」の一日を追ったドキュメント映像DVDなどが特に人気だそうです。
食品コーナー

書泉グランデ鉄道フロア 食品コーナー
先ほどチラッと見えた「鉄道会社の食品コーナー」。なぜ本屋さんに食品コーナーが!?

銚子電鉄「ぬれ煎餅」
広瀬さんによれば、鉄道会社のグッズを仕入れていたら自然と「食品」も集まってきて、いっそのこと「食品コーナーを作ろう!」となったとのこと。銚子電鉄(千葉県)の人気商品「ぬれ煎餅」が最初に置いた食品だそう。

JR九州の列車イラスト入り地酒
食べ物・飲み物だけでなく、アルコールまで扱っています。JR九州の列車がデザインされた地酒です。
グッズ
普通であればその鉄道の駅や売店でないと入手できないグッズがここでは買うことが出来ちゃうのです。

「Kitaca」トートバッグ
広瀬さんによれば実用性の高いものが好まれるといい、このJR北海道のICカード「Kitaca」のトートバッグは特に人気だそう。

また現在は使用できない昔の貴重なきっぷや、使用済みの硬券きっぷなどのセットも販売されています。このようなものだって立派な”売り物”なのです。

寝台列車のあのベルト
広瀬さんおすすめのユニーク商品がこれ。国内の従来形の寝台列車には、ベッドからの落下防止のためのベルトがつり下がっていました。それが「あのベルト」として売っているのです。

「ぶりと君」人形
これは「予想に反して売れた」というグッズ。富山県の北陸新幹線PRキャラクターの「ぶりと君」です。あまりの売れ行きに追加発注をかけたとか。

上毛電鉄「業務手帳」
なんと「業務手帳」まで売られています。乗車記録メモ帳としても使えるので、普通のノートにメモするくらいなら、ぜひこういうものに記入したいなと思ってしまいました。

わたらせ渓谷鐵道の「わ鐵だるま」
安全第一の鉄道各社からは多くのお守りが出されています。群馬県のわたらせ渓谷鉄道では、特産品であるダルマを販売。中には線路の「すべり止めの砂」も入っている縁起物です。

銚子(ちょうし)発、本銚子(ほんちょうし)行きの合格祈願切符
広瀬さん曰く、さまざまなグッズを通して「こんな鉄道会社もあるんだ」と知ってもらい、実際その鉄道に乗って好きになってもらって、色んな鉄道会社さんの乗客が増えれば、と願っているそう。
「…そしてまたココに来て新しく色々買って頂く、そのような循環ができれば最高です」とも。

さて、よく旅をする筆者は以前から欲しかった、鉄道白地図と熊本電鉄の古い切符セットを購入しました。

帰って早速、さきほど本やグッズを通して出会った様々な鉄道の事を思い出しながら、自分が通った事のある路線を塗りつぶしてゆきました。
フロアを案内して頂いた広瀬さん、ありがとうございました!
取材協力:書泉
・書泉 - 公式サイト。書泉グランデなど3店舗の紹介、イベント情報など。
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