2019年7月3日、JR東日本から東急電鉄に「電源車」という珍しい車両が譲渡されました。その様子を写真を中心にレポートします。
そもそも電源車って?
「電源車」は、かつてのブルートレインのような機関車が牽引する客車などに照明・エアコンなど車内サービス用の電源を供給するための車両です。
どうして東急電鉄に電源車?
JR北海道・JR東日本・東急電鉄・JR貨物の4社が道内の観光振興と地域活性化を目的として立ち上げたプロジェクトの一環として、東急電鉄が旅行商品販売をしている伊豆観光列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」を約1か月間北海道で運行すると発表しました。
同車は直流電車ですが、運行を予定している札幌~道東エリアは交流電化区間または架線の無い非電化区間のため自走することができません。そのためディーゼル機関車がけん引することとなり、その際車内サービス用電源を供給する車両として今回JR東日本から電源車1両を譲り受けました。
長津田駅搬入(譲渡)の瞬間
JRからの譲受場所は「長津田駅」。JR横浜線と東急田園都市線の駅で、「JR・東急授受線」と呼ばれる、JRと東急が繋がっている線路が存在します。
そこを使用し、引退済みのJR東日本お座敷車両「リゾートエクスプレスゆう」用の電源車(マニ50形)通称『ゆうマニ』1両が搬入されました。
JR横浜線長津田駅の線路に、ディーゼル機関車に牽引された電源車が到着しました。
折り返して後ろから押される形で授受線に電源車が入線します。
譲受地点に到着!
ディーゼル機関車が切り離され、機関車はJR側に帰ってゆきました。
今度は東急の車両基地に入れるための東急側の牽引車両の連結を待ちます。
その間に、東急の車両をはじめ、直通先の東京メトロ半蔵門線や東武線などさまざまな車両と顔合わせしました。
そして、東急側の牽引車両がやってきました。検測/事業用車「TOQ-i」(2両)です。
いよいよ、元JR電源車と東急電鉄の車両が連結です。
連結完了!
3両編成になりました。
このあと一度東急長津田駅に入線後、東急の車両基地へと押し込まれました。
ザ・ロイヤルエクスプレス、いつ北海道を走る?
運行予定時期は2020年5~8月の間の約1ヶ月、週4日程度を想定しています。運転区間は札幌~道東エリアです。
2019年夏に詳しい運転区間や時期などについて発表予定とのことです。
電源車の今後の動きは?
改造工事は2020年を予定していますが、内容は連結器周りなどで、大掛かりな工事は無いとのことです。
電源車の車籍は東急電鉄となり、形式などは未定。
外観デザインについて、一部報道があったものの実際は現地点で未定で複数の案があるとのことです。
ザ・ロイヤルエクスプレス北海道運行後の電源車について担当者は、今のところ決まった計画はないとしつつ「ただせっかく色々できるようになるので今後使えていけたら、とは考えている」とのことです。
動画
ゆうマニ(JR電源車)が東急電鉄にやってきました! pic.twitter.com/knPuuC1E03
— 鉄道新聞®︎ (@tetsudoshimbun) 2019年7月3日
きょうJR東日本から譲渡された「電源車」と東急の事業用車「TOQ-i」の連結シーンを至近距離動画でどうぞ。https://t.co/ZLmIgB73Qf pic.twitter.com/UCKrHZkCgD
— 鉄道新聞®︎ (@tetsudoshimbun) 2019年7月3日
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