令和2年7月豪雨によって一部区間で不通が続いていたJR九州の久大本線。復旧工事が進み、2021年3月1日(月)ついに全線開通しました。
全線再開当日、JR九州初の試みとして、特急「ゆふいんの森号」の乗車気分を味わえる『オンラインの旅』が開催されました。
オンライン旅ってどんな感じなんだろう?
博多~由布院・別府間を1日計3往復運行されている特急「ゆふいんの森」。
列車旅は面白そうと思っても、昨今の状況や、居住地から遠いとなかなか思い付きで乗りに行けませんよね。
観光列車の旅ってオンラインでも楽めるのでしょうか?オンラインツアーが楽しければ、充分な休みが取れなくても、遠距離移動に不安があっても楽しめますよね?期待を込めて取材参加させて頂きました!
博多駅からスタート
全線開通当日の2021年3月1日。「ゆふいんの森1号」博多駅出発前の朝9時、現役のJR九州D&S列車(観光列車)の客室乗務員の方々の進行でオンラインの旅はスタートしました。
出発式が行われている現地からは熱気も伝わってきます。たまに画像の乱れが生じますが、それもまた臨場感があります!
カメラは運転席に切り替わり、ゆふいんの森号は走り出しました。あぁ、よかった…無事に出発してホッ。…ではなく、旅は今からスタートです!
筆者はゆふいんの森号に乗ったことが無いので(九州自体行った事があるのは数回)ドキドキです。
走行ルート
ここで本日の走行ルートとオンラインツアーのスケジュールが読み上げられます。画面越しに車内放送のような臨場感を感じます。
「ゆふいんの森」についての解説が始まりました。JR九州では観光列車ではなくデザイン アンド ストーリーを意味する「D&S」列車と呼んでいるそうです。
どんな車両?
本日"乗車"している車両はこちらです。
Ⅲ世という呼び方がヨーロピアンですね。珍しい形です。高さがある窓も独特の区切り方で、異国の雰囲気すら漂わせています。
素敵♪床も壁も木調ですね。日本の列車というより、なんだか豪華なヨーロッパのイメージです。
この前にゆふいんの森Ⅰ世も紹介されたのですが、Ⅱ世はどうしたんでしょう?
鳥栖(とす)駅
ここで駅長さん自ら駅と周辺を紹介するムービーが入ります。
おぉ!味わいのある駅舎がいいですね!2代目でも明治建築。これは興味深いです!
サガン鳥栖のサッカー場も見えて、見応えがあります。
イギリス製の線路を材料にした柱だそうです。
この解説ムービーいいですね!下車できない駅についても見所の多い駅ということを知ることができます。知らないと見逃しがちなポイントもわかって素晴らしいです♪
筑後川
けっこうな幅の川ですね。運転席からの景色は乗務員さんも初めて見たそうで、思わず「おぉ」と唸っています。
久留米駅
列車はもうすぐ久留米。オンライン旅では、久留米駅の紹介ムービーが入ります。
うわぁ。天井がずっとステンドグラスです。壮観!これは実物で見てみたいです!
ゆふいんの森Ⅱ世がここで登場!さっき、なんで2が無いのかな?と思ったんですよね。今は特急「あそぼーい!」として走っているそうです。
山が出てきたところでガイドが始まりました。牛鬼の耳が納められた山だから「耳納山」。いいですね〜旅情を感じます。ガイド音声と共に、顔を見ながらというのが癒されます。
うきは駅
ここでストレッチが始まりました。
長時間の"乗車"を考慮して、このような配慮がありました。画面越しに見ていても身体が固まっちゃいますからね。ほぐれました♪
乗車記念グッズも販売
ここで乗車記念グッズセットの説明が!
オンラインツアー参加者限定でゆふいんの森車内で販売しているオリジナルグッズを2種類の特別セットにして販売していました。購入すると今日の日付の乗車証がついてきます。これは実体験のような嬉しい特典!
天ケ瀬駅
『ジオンの滝』という名所が車窓から見えるという案内がありました。
おぉ〜!立派な滝がハッキリとわかります!ジオン…どういう字を書くんでしょうね?
ジオン!あぁ、コスプレして手を振ってくれている方がいます。すごいなぁ!ゆふいんの森が愛されていることを感じます。
文字出ました。こんな貫禄のある字を書くんですね!リモートでも滝を見た満足感が得られました。
豊後森(ぶんごもり)駅
「出発してすぐ右手に注目」と、アナウンスが。
巨大な鯉のぼり?
あぁぁぁぁぁ!扇型機関庫!すごいすごいすごい!
続けて流れた、豊後森駅前の紹介映像が、とんでもなくかっこいい!
扇型車庫も美しく詩的です!素敵♪
豊後中村駅
本日は特別に停車します。
ホームに入りきれず、沿道まで見送りの方がいます。
ここが復旧区間です。枕木や砂利が一部新しくなっています。
復旧工事担当者のインタビュー映像が入りました。被害の規模や線路が無くなっている様子が痛々しいです。
橋に至っては、丸々架け替えになったのですね。懸命に復旧に携わった方々に敬意を表さずにはいられません。
ここから先はトンネルで中継画像が途切れがちになるということで、由布院駅の紹介ムービーが入ります。
馬!大きいですね!駅長さんが慣れた感じで馬の前に立っているのが印象的です。
ホームに足湯があって、山・線路・足湯!絶対に、そこ、気持ちいいですね♪
改札を出れば目の前には由布岳!真っ直ぐに伸びる道がいいですね♪そして、この景色がこの旅のゴールなんですね!
由布院駅
そして「ゆふいんの森」号も、遂にゴールの由布院駅に入線です!お出迎えの人たちが沢山います。
ゆふいんの森の走行を通して、JR九州の皆さんの全力と、地元の人たちに愛されている列車であることが画面越しに伝わってくるツアーでした。
由布岳は雲に隠れてしまっていましたが、清々しくゴールです!あっという間の3時間13分の旅でした。アテンドして頂いた客室乗務員のお二方、また関係者の皆様、楽しい旅をありがとうございました。九州って本当にいいところですね♪
オンラインツアーを終えて
リアルタイムの走行映像がメインのイベントを想像したのですが、意外にも走行映像は観光の要所のみで、解説やクイズが面白く、観光案内もバックヤードをチラ見しているような面白さがありました。
3時間があっという間に感じられるほどテンポの良いイベントでした。
オンラインツアーは、モニターをつけるだけで旅が始まり、旅先の面白い景色が次々に目に飛び込んできますし、楽しい乗務員さんと一緒に乗っている気分になります。
普通に生活していては行かない町のことを、行ったような感覚で体験できたのでオンラインツアーは面白いと思いました。会社は違うけど、この感覚で四国や北海道などの沿線も見れたらいいなぁ。
色々な制約で列車に乗れない方にも楽しんでほしい
今回の企画、JR博多駅の本竹真徳副駅長によれば「久大本線全線開通を当日の列車に乗車できない方とも盛大に祝う」「新規顧客の開拓を行い、オンラインツアーを今後の収益の柱に育てる」「どこからでもつながり皆で元気になれる新しい旅の価値創造を行う」を目的として企画されたとのこと。
『新規顧客の開拓と今後の収益の柱にするため、JR九州初のオンラインツアーに挑戦することにしました。色々な制約(距離、高齢等)で列車に乗れない方にも、オンラインの旅を楽しんでいただきJR九州のファンになっていただきたいです。JR九州は鉄道という強いキラーコンテンツを持っていますので、今後も多くのツアーに挑戦して行こうと思います。』とのことです。
確かに、まだ本物を見たことも乗ったこともないのに、すでに「ゆふいんの森」にただならぬ愛着が湧いております。
今後の同社のオンラインツアーの展開が楽しみです!
リンク
JR九州「JR KYUSHU TRAINS」 特急「ゆふいんの森」ページ