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きょう(2016年11月17日)、東急電鉄・伊豆急行による伊豆観光列車記者発表会が行われ、新たな観光列車「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤル エクスプレス」の概要が発表されたので行ってきました。
「THE ROYAL EXPRESS」ってどんな列車?
JR東海道線の横浜駅と伊豆急行線の伊豆急下田駅を結ぶ観光列車で、2017年7月にデビュー予定です。
伊豆急行の元・リゾート車「アルファリゾート21」を大きく改造し、8両編成で定員約100名の贅沢な列車に生まれ変わります。
ココがポイント!
「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤルエクスプレス」について筆者が特にココはポイント!と感じた点を簡単にご紹介します。
①観光列車最大級の8両編成
いわゆる『観光列車』は2~4両程度の短い編成が多い中、この列車は8両編成。そのぶん多彩な設備構成になっています。客室車両は1・2・7・8号車の4両です。
②デザインは「ななつ星」デザイナー
デザインは豪華寝台列車「ななつ星」をはじめ数々の観光列車を手掛ける工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が手掛けます。
③乗客専用ラウンジがある
「ななつ星」同様に、乗車前のひとときを過ごせる乗客専用のラウンジを東急東横線横浜駅地下2階に設置します。
④客室とは別に食堂車・厨房車がある
4号車はキッチンカー、5・6号車は食堂車。7・8号車「プレミアムカー」乗客は食堂車に移動の上食事を楽しみます。
⑤寿司カウンターがある
食堂車には寿司カウンターも設置。伊豆の名物、金目鯛などを楽しむことができそうです。
⑥生演奏を楽しめる
食事と共に生演奏の音楽が楽しめます。「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤル エクスプレス」のテーマソングも制作されました。
⑦ファミリー車両もある
1・2号車はファミリー車両。家族連れ専用という意味ではなく、カップルから家族まで様々なシーンに対応する車両です。キッズコーナーや展望室も。
⑧結婚式や展覧会もできる
3号車はマルチスペースカー。イベントスペース・ミュージアムスペースとなったり、列車を貸し切ってのブライダル利用も可能です。
どうやったら乗れるの?
観光列車「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤル エクスプレス」は2017年7月デビュー予定。週2日の運行が基本になるとのこと。
販売方法・価格は未定ですが、運賃と食事のセットでの発売で2~3万円(2コース設定)を予定しているとのことです。
続いて発表会の様子を詳しくレポートします。
◆伊豆観光列車記者発表会レポート
当日の記者発表会の様子とともに、現地で発表された列車の詳細情報をレポートします!
伊豆観光列車記者発表会の会場にやってきました!
会場受付では優雅な生演奏が行われていました。
会場内でも、発表が始まるまでの間ピアノの生演奏が。この列車にとって「音楽の生演奏」が大きなテーマなのかもしれないと感じました。
オープニングでは伊豆のイメージムービーが流れました。
イメージムービーの動画です。
伊豆急行の親会社にあたる東急電鉄の取締役社長 野本弘文氏が登壇。東急電鉄の創業者、五島慶太氏が伊豆を大変愛していたというお話から始まりました。
そして今から55年前の1961年、伊豆急行線が開通。その後リゾート列車「リゾート21」もデビュー、伊豆ブームに沸きましたが90年代以降、観光客は減少傾向に。
伊豆を終わりにするのではなく更なる伊豆の魅力を創り出す取り組みとして『伊豆急オモシロ駅長』や『オリーブプロジェクト』を紹介。
取材している発表会に自分(オモシロ駅長)の顔が映っているのはとても不思議な気分でした。
そしていよいよ観光列車の発表です。「乗った時から旅が始まる」「乗客が憧れるような豊かな時間を過ごせる」列車を目指すというその名前は…
「THE ROYAL EXPRESS」。ロイヤルという名前とロゴには、伊豆の素晴らしさと魅力、その魅力を感じてもらえるような気品と特別感のある観光列車にしたいという思いが込められているとのこと。
続いて外観デザインの発表。ロイヤルブルーに金色のライン。改造前の車両「アルファリゾート21」からは大きく印象が変わりました。
続いて、デザインを手掛ける水戸岡鋭治氏より内外装デザイン・各号車のコンセプトが発表されました。開口一番「凄く緊張しています」。
「8両編成の観光列車は初めてかもしれない。一言で言うと『街が走る』。そういった舞台をつくる、というのがテーマです。」
「九州で『ななつ星』『或る列車』などを作っています。急に私がデザインの方向性を変えるわけにもいきませんので、その流れを汲みながらこの列車のコンセプトを組み合わせて今までにないオンリーワンの車両をつくっていきたい」
「スケジュールと予算と技術の中で多くの職人たちと一緒に考えています」
ロゴマークは『水』がテーマ。ROYALの「R」の下には水滴がデザインされています。
「車体色は『ロイヤルブルー』、濃いブルーをメタリック塗装で仕上げようと思います。多分出来上がると伊豆の景色を車体に映しこみながら、そして車窓からは伊豆の景色を眺めながらゆっくりとした旅ができると思っています」
8号車の半室は展望ライブラリー(図書館)。「本をみながら、景色をみながら、お酒を飲みながら旅をする」。もう半室はプレミアムカー客室です。
7号車もプレミアムカ―客室。2人席、4人用コンパートメント席があります。床も天井も可能な限り木を使用。「森の中にいるような感じで走ってゆきます」
6号車は食堂車。配膳カウンターやピアノも設置。生地、カーテンなどあらゆるものをオリジナルで作ってゆくとのこと。あくまで予想図で色などはこれから検討してゆくとのことです。
6号車は「寿司カウンター」も設けられます。寿司だけではなくおむすびも握ります。ピアノ付近には組子細工も使うとのこと。
「『ななつ星』のチーム、”チーム水戸岡”職人集団がそのままそっくり移動してきて伊豆でこの仕事をします」
4号車はキッチンカー。木をふんだんに使い「食堂車というよりはサロンのような感じになります」
3号車はマルチスペースカー。ミュージアムやブライダル、発表会やコンサート、商談会などにも使えます。
「本格的なイベントカー、私たちもJR九州で作りたかったのですが、なかなか作るチャンスが無く初めて今回できることになりました」
「東急さんですから、例えばデパ地下が入ってくる、東急ハンズのハンズトラックが入ってくる、ということもできますね。可能な限り、能力と情熱があれば、この車両をふんだんに使いきることができる、今までにない新しい旅を、新しいビジネスを創出することができると思っています」
2号車はファミリーカー客室。「それぞれの人に、それぞれの旅を提供するするための、それぞれの椅子を配置」
プレミアムカーとデザインについては差はなく、素材が少し明るくなり「出てくる食事が圧倒的に違う」とのことです。コンパートメント席はカーテンを閉めると個室になります。
1号車は、下田方面の先頭車になります。ファミリーカーとキッズコーナー(木のプールなど)、最前面は展望室になります。
次に、東急電鉄 鉄道事業本部 事業推進部の竹内智子氏より列車概要について説明が行われました。
運行日は週2日を基本としつつ、繁忙期などは関係各所とダイヤ調整を行っているとのこと。運転業務はJR東日本と伊豆急行が行い、列車内のサービスを東急電鉄が行います。
食事等は2017年1~2月ごろに発表予定、販売方法等は追って発表されます。
この列車の特徴の一つとして音楽でも旅を演出。生演奏を楽しめるよう、設備を整えます。また「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤル エクスプレス」のテーマソングを制作。プロデュースはヴァイオリニストの大迫淳英氏が担当しました。
テーマソング「THE ROYAL EXPRESS」の生演奏も披露されました。大迫淳英氏は豪華列車「ななつ星」テーマソングのプロデュースや乗務演奏もされている方です。
「THE ROYAL EXPRESS」発着駅となる横浜駅にカフェ・ラウンジを設置。カフェについては、一般の方も利用できます。
「THE ROYAL EXPRESS」運行日にはカフェに隣接するラウンジが乗客専用ラウンジとなります。列車同様、水戸岡鋭治氏がデザインを担当。列車内の雰囲気を踏襲します。
車内サービスで『旅のお手伝い』をするクルーについては、現社員に加え新規に採用。2016年11月18日より募集を開始しています。
次に伊豆急行 取締役社長 小林秀樹氏が登壇。あいさつや今後の展望についての説明がありました。
「伊豆急がグループそして下田の町と連携し、歓迎ムード、期待感を醸成してゆく」とし、2017年3月には東急ホテルズが運営する下田東急ホテルが半年に及ぶ改装を終えリニューアルオープンすることを発表しました。
さらに伊豆急グループの下田ロープウェイ寝姿山の山頂の店舗施設を、下田港や伊豆七島を見渡せる飲食施設へとリニューアルする計画が発表されました。
このほか、下田駅構内のスペースを活用したマルシェの開催などを通し、乗客と地元の方々の交流を図る仕組みを作ってゆきたいとのことでした。
「今年7月に運行開始したJR東日本様の観光列車『伊豆クレイル』もお客様に大変ご好評を頂いている」とし、「THE ROYAL EXPRESSの運行を機にこれまで以上に東急、JR東日本、また地元のバス会社、タクシー会社、といった交通事業者そして宿泊施設事業者、さらには地元と一体となって相乗効果を醸し出したい」と話しました。
記者発表会には数多くのメディアが集まっていました。
発表会の隣の部屋では「THE ROYAL EXPRESS ザ ロイヤル エクスプレス」のパネル展示も行われました。
パネルではユニフォームデザインや横浜駅 ザ ロイヤル カフェ&バーのデザインなどもお披露目されました。
伊豆急行の小林秀樹氏も言及したようにJR東海道線と伊豆急行線を走る観光列車としては2016年7月にデビューした「伊豆クレイル」(小田原~伊豆急下田間)もありますが、列車のコンセプト(本列車は、よりハイグレード志向)、1乗車あたりの価格帯(「伊豆クレイル」:1万円前後~、「THE ROYAL EXPRESS」:2~3万円予定)と、ニーズに応じた棲み分けがなされ、また相乗効果も期待できるように感じられました。
水戸岡鋭治氏が「予想図以上のものにしたい」と意気込む実車の登場が今から楽しみです。
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撮影:福岡誠
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伊豆急行や伊豆エリアのPR、駅を拠点とした地域の活性化などに取り組むべく計8組が活動中。鉄道新聞®編集長の筆者(福岡誠)も応募し「鉄道新聞駅長」として活動。
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・伊豆急オモシロ駅長 - 伊豆急行