【追記】現在、「アルファリゾート21」は伊豆観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」に生まれ変わりました。
伊東~伊豆急下田間の伊豆東海岸を走る鉄道、伊豆急行。同線を走る看板列車「リゾート21」が初代デビューから今年で30周年を迎えました。
今でこそ”乗る事が楽しい・車窓を存分に楽しめる”、いわゆる「観光列車」が全国に増えつつありますが、そのコンセプトを30年前に形にしていた「リゾート21」の魅力そしてヒミツをご紹介します!
伊豆急「リゾート21」ってどんな電車?
「リゾート21」は1985年にデビューした「2100系」の愛称です。
「普通列車用」でありながら、観光客の利用を念頭に、既成概念にとらわれない発想の車両として開発されました。
シアター状の座席配置で前面展望を楽しめる先頭車、海に向いた座席など、当時としては画期的なデザイン・コンセプトで話題となりました。
デビュー翌年の1986年には「鉄道友の会」から最優秀車両として「ブルーリボン賞」も受賞しました。
これまで5本が製造され、現在は3代目(愛称:リゾ―トドルフィン)、4代目(黒船電車)、5代目(アルファリゾート21)の3本が活躍しています。
伊豆急「リゾート21」はココがすごい!
30年前から変わらない「リゾート21」の主な特色を5つご紹介。
①左右非対称のデザイン
当時の車両としては極めて珍しい「左右非対称デザイン」を採用。海側と山側で車体色を変えたほか、「窓」も山側と海側で全く異なっており、海側には大型窓を採用しています。
②海側の座席が窓に向いている
海側の座席は窓を向いていて、伊豆東海岸の絶景を存分に楽しむことが出来ます。
海側の座席からの眺めです。晴れて見通しの良い日は、大島をはじめとする伊豆諸島も見渡せます。
③シアター状の座席で運転士気分!
編成の両端はシアター状に展望シートが展開。線路もよく見えます。
車内であることを忘れるくらいの大きな窓。実際乗ってみると本当に明るくて気持ちがいいです。海沿いではまるで船に乗っているかのよう!
④この豪華設備が普通列車で乗れる
そしてこの「リゾート21」は主に伊豆急行線の普通列車の一部として運行しているので、運賃のみで乗れるのです。予約不要の自由席のため展望席などは早いもの勝ちで入線前から並ぶこともしばしば。
⑤まるでプラネタリウム!「ロイヤルボックス」
伊豆急行線内には海沿いだけでなく長いトンネルもあります。
それを逆手に取ったのが、特別車両「ロイヤルボックス」です。特急運行時のみ、グリーン車として連結します。
トンネルに入ると光ファイバー装置により、天井がプラネタリウムのように美しく変化します。
「リゾート21」のヒミツ
リゾート21にまつわるトリビアを4つご紹介しましょう。
①最初はメーカーも戸惑った!?
奇抜で斬新なコンセプトに、最初は車両メーカーも周囲の関係者も相当戸惑いをみせたそう。しかし実車が完成すると一斉に注目され、今なお「リゾート21」は同線の目玉の一つとして続いています。
②東急線を走った「リゾート21」
伊豆急行は東急のグループ会社です。1980年代には、田園都市線の開業20周年や「リゾート21」のプロモーションのため、田園都市線や東横線など東急各線を走ったこともあるのです。
③リゾート21「黒船電車」が2つ存在していた
「黒船電車」はリゾート21を下田に来航した黒船に見立てた、珍しい黒色の電車です。「黒船」という響きがカッコイイですね。
4代目が「黒船電車」とご紹介しましたが、既に廃車の1代目も晩年は「黒船電車」でした。それを4代目が受け継いだのです。
ちなみに、伊豆急行線開通時に地元では、幕末に下田を訪れた黒船艦隊に次ぐ「第二の黒船到来」と言われて歓迎されたそうです。
④数々のドラマにも”出演”した「リゾート21」
伊豆急ではロケーションサービスも積極的に受け入れており、リゾート21も数々のドラマなどに登場しています。
- フジテレビドラマ「リッチマン、プアウーマン」(出演:小栗旬・相武紗季)2012年
- テレビ東京ドラマ「孤独のグルメ」(出演:松重豊)2013年
- NHKドラマ「さよなら私」(出演:永作博美)2014年
- NHKドラマ「途中下車」(出演:北村一樹)2014年
- NHK BSドラマ「本棚食堂」2015年
などなど。皆さんが見たことのあるテレビやCMなどにも実は「リゾート21」が登場していたかもしれませんね。
どうやったら乗れるの?
「リゾート21」は、伊豆急行線および直通先のJR伊東線の普通列車の一部として熱海~伊豆急下田間を走っています。自由席で予約は不要です。
日によって充当列車が異なります。乗りたい方は伊豆急行のリゾート21ページに運行予定表が公開されていますので、事前にチェックして乗るのがオススメです。
取材協力:伊豆急行