2018年2月19日に見てきた東京メトロ東西線の車両基地レポート後編です。
② 深川工場
前半(記事前編)では『検車区』で「清掃/月検査/広告張替」を見ましたが、後半では『工場』を見学してきました。
ここで、東京メトロの車両検査の種類を表でご紹介します。一概に「車両検査」といっても色々なパターンがあり、内容によって『検車区』『工場』で担当場所が分かれています。
今回は8年を超えない期間ごとに1度行われる最も大がかりな検査「全般検査」を見てきました。
工場ピット内に入ります。広い!東西線については、27~28日程度で1編成の検査/修繕が完了するそうです。
全般検査を受ける車両がピット内に入ってきました。
まずは、連結器を外して1両1両切り離します。
人の手で、車両間で繋がれていた各種ホース管などを外します。
写真左側の車両を少し移動し、中間車同士が切り離されました。
ピット内のクレーンに車体を固定。
台車が残され、車体は写真右側の作業台の上に載せられます。
残された台車から、モーターを取り外します。何度もカチカチ、カチカチと工具を使って外します。
ネジ類を外した後はクレーンを使って駆動装置を持ち上げます。
ここからが想定外の動き。まるでUFOキャッチャーのように、しかもそこそこ速いスピードで斜めに保管場所へと運ばれて行きました。
次に床下機器の取り外し作業を見学。てっきり上から下に外すのかと思いきや、全てがそうではありませんでした。写真の「SIV」は手前に引っ張って中身を取り出しました。
「SIV」の取り出しは早かったですが、「コンプレッサー」はボルトを外しでもかなり時間がかかっていました。それでも、今回は新しい車両なのでまだ取りやすく、古い車両はもっと大変だとか。
ちなみに、取り外した機器類すべてこの工場で検査をすると思いきや、意外な情報が。「コンプレッサー」や「モーター」「パンタグラフ」などは別の千住車両基地に持って行き、グループ会社が保守をするとのことです。
階段を上り、工場の2階にやってきました。見慣れない装置や工具がズラリ。
この職場はザルが多いことに気づきました。同じ部品をそれぞれのザルに入れているそうです。
ブレーキ装置の箱の中の清掃を行っている様子。1個1個の床下機器の箱の中には細かい部品がいっぱい。そのような機器が1両1両に沢山ついていると思うと、1本の電車にはもう果てしなく機器・部品があるんですね…。
こちらはブレーキ部品の保守現場です。
整備後のブレーキ部品を見せて頂きました。『えっ?新品?』と思ってしまう程にピカピカ!また何年間も蓋をあけないので、神経をつかうそうです。
もう本当に細かい部品がズラリ…
見てください、この2種類のリング部品。
パッと見では同じ大きさに見えましたが、僅かに違うそうです。間違えても入っちゃうそうですが、もちろん間違えると不具合が起きてしまうとのことで、神経を使うようです。
こちらでは保守が終わった非常ブレーキ部品を、試験装置にかけて空気を込めて不具合等が無いか確認していました。車両によって空気の調整する圧が異なっているため、そういったところの調整も行うとの事です。
最後に『とっておきの場所』として見せて頂いたのが…工場のお風呂!大きな浴槽が中央に2つあり、それを囲むようにシャワーがありました。
レトロな体重計が印象的でした。
今回見ることができた工場内の作業はほんの一部だとは思いますが、本当にネジ1本単位で機器を分解してまるで新品のように整備しているところを目の当たりにし、感動すら覚えました。「全般検査」ともなると、あの大きい鉄道車両が多くの人の手によりここまで小さい部品単位で整備され守られているということを実感しました。
動画
前編記事はこちら!
東京メトロ東西線の車両基地に潜入!中ではどんなことが行われている!?【前編】(2018/02/19記事)