2019年7月17日より、名古屋のリニア・鉄道館でN700系「量産先行試作車」の展示がスタートしました。
量産先行試作車とはその名の通り、量産タイプ製作に先立ち新技術など試験・確認する車両。
ところで量産先行試作車って現在走っている通常の量産タイプのN700系と、どこが違うのでしょうか!?JR東海に聞いてみました。
外観編
前面ライト開口部が小さい
正確に言うと「先頭部前照灯開口部面積」が量産タイプより狭いとのこと。
連結器下にもライトが付いている
現在は通常のカバーをしているので見ることはできませんが、連結器カバーの中を開けると試運転時用のライトが!
リニア・鉄道館のイベントでカバーを開ける計画はあるそうです。その時は見られるチャンス!
車内編
コンセントが少ない
量産タイプではグリーン車全席、普通車は各列窓側に設置されていますが、量産先行車はこれより少なかったとのこと。
荷棚がせまい
量産タイプでは荷棚がより広くなったとのこと。
多機能トイレが少し狭い
こちらも量産タイプは量産先行試作車より広くなったとのこと。
喫煙ルームがない
喫煙ルームは先行試作車には無く、量産タイプから設置されました。
グリーン車のオーディオがアナログ
グリーン車の肘掛部にはイヤホンを挿せば音楽やラジオを楽しめましたが、その方式が量産先行試作車ではアナログ、量産タイプではデジタルになったとのこと。(現在このオーディオシステムは終了)
以上が公式回答で、それ以外にももっと細かい違いがあるかもしれません。ぜひ、実際にリニア鉄道館に足を運んで、違いを探してみては!
そんな違い見つけられないよという方も、東海道新幹線の主力とほぼ同じ車両の中に入ることができ、座ったり飲食もOKなのでそれだけでもお子さまから大人まで楽しめることまちがいなし!
N700系量産先行試作車の軌跡
「N700系量産先行試作車」は700系の次世代車両として、さらなる高速性と快適性、環境性能の向上を目指して、日本の新幹線で初めての「車体傾斜システム」などの試験を実施するために2005年3月に導入しました。
この試験を踏まえN700系量産車両を製作、2007年7月営業運転を開始しました。
量産車両デビュー後も量産先行試作車は東海道新幹線の時速285キロへのスピードアップに向けた試験など、累計約130万キロの試験走行を行いました。また2009年9月には時速330キロの速度向上試験を実施しています。
N700S確認試験車の導入に伴い、2019年2月に試験車両としての役割を終えました。
そして2019年7月1日より、一部車両(3両)が名古屋のリニア・鉄道館にて展示を開始しました。
現在の東海道新幹線の主力であるN700系(N700A)の礎(いしずえ)であり、またN700Sにも繋いだ車両。そんな車両がリニア・鉄道館展示されることになったのは非常に意義深いといえるでしょう。
JR東海によれば「今までお客様が乗れなかった車両なので、そういう歴史を感じながら体感してほしい」とのことでした。
N700系量産先行試作車走行写真・車内写真提供:JR東海
新幹線N700SとN700Aの違いを写真で徹底的に比較してみた(2019/04/20記事)
時速360km!東海道新幹線N700S試運転に乗ってみた(2019/06/06記事)