『明日、ヤギ駅員2頭が着任します』
先日、伊豆急アロハ電車(JR伊東線乗り入れ)出発式を取材後、伊東駅の副長さんから伺った一言。
ヤギ駅員…!?気になって、夜も寝られません。ヤギが1匹、ヤギが2匹…いや、2『頭』か…などと考えながら2022年6月20日、改めてJR伊東駅に伺ってみました。
JR伊東駅に到着
熱海駅からJR伊東線で南に約20分ちょっと。伊東駅に到着です。更に先は伊豆急行線になります。
おや、1番線ホームに案内を発見。しかし、パッと見でヤギ駅員さんの姿は見つけられず…。
一度、駅の外に出て回り込んでみます。
あっ、ちょうど木陰にいたんですね。
日が少し陰ると、パクパク草を食べ始めました!なるほど、敷地内の除草をしてくれるということでしょうか!?
さて、なぜヤギ駅員さんが着任する流れになったのでしょうか。そして、効果のほどが気になります…。聞いてみましょう!
こんにちは。きょうはJR伊東駅のヤギ駅員さんを取材中です! pic.twitter.com/79W8cdOEs3
— 鉄道新聞®︎ (@tetsudoshimbun) June 20, 2022
伊東駅の駅員さんにお話を伺いました!
今日ご案内頂いたのは、JR伊東駅の望月丈永(たけひさ)副長と、駅員の井上貴博さんです。
Q:なぜヤギさんが駅員に着任したのでしょうか?
井上さん:「敷地内の雑草について、これまでは駅社員が夜勤明けに毎日のように草刈りしていました。かなりの量で、その負担をなんとか軽減できないかと考えていました。社員の1人が『私鉄沿線でヤギが草を食べていた』ということで、ヤギによる除草ができないか?と検討しました。中伊豆に、ヤギによる除草の取り組みもされている団体『平成森鮮組』さんがいらっしゃることが分かり、色々と話し合いました。そして、2021年5月に初めて試行、10月にも実施し今回で3回目です。」
ヤギ駅員さんのお名前は?
井上さん:「『ブーツ』と『ヨツバ』で、3・4歳の雄の兄弟です。仲良しでいつも一緒にいるんですよ。」
着任の効果は、どうですか?
望月副長:「毎回"仕事"ぶりがすごいです。今回2週間想定ですが、恐らく予定より早くに任務完了してしまいそうです。6日前の着任時点ではひざ上まで草が『ボーボー』な状態でしたが、今では足場が見えるほど草を食べてくれました。」
「このエリアを刈るだけでも、社員総出で夜勤明けにやって1週間くらいはかかります。正直、時間外給料よりレンタル料の方が遥かに安いです。除草剤など使うこともなく自然に、というのも良いですよね。」
井上さん:「当初は、匂いや鳴き声などの心配の声もありましたが、そのような問題は起こらず、地元でも好評です。期間中は保育園児の散歩コースにもなり、特急踊り子号などから降り立ったお客様にもホームからご覧頂いています。」
好調のようですが、他駅でも広がるでしょうか?
井上さん:「伊東駅のほか、同じく伊東線の宇佐美駅でも同様にヤギ駅員が2回着任しています。ただし高い柵でしっかり囲われている必要があったり、電車の来る頻度が余り高いとストレスの心配もあります。それなりの環境条件は必要です。JR東日本内の、支社を超えての問い合わせもあります。」
「ちなみに、駅員が毎日ヤギのフンの状態を見て、健康状態をチェックしています。少しでも異変があった場合は団体へ相談することになっていますが、幸い今まで一度も体調が変わった様子はありません。また、フンを肥料などとして活用できないか?ということも今考えています。」
ヤギ駅員さんにいつ会えますか?
井上さん:「期間中は(小屋を閉めたりはせず)基本的に24時間ヤギ駅員は柵で囲った範囲の中で自由に行き来しています。寒さより暑さが苦手なようで、日差しの強い日は木陰で休んで、涼しい時に活動します。夜も草を食べていることがあります。今回の任務期間は、今月いっぱいの予定となっていますが、恐らく予定より早く任務完了しそうなので、それまでは見られます。」
最後に、伊東駅のとっておき情報はありますか?
望月副長:伊東駅公式キャラクターがつい先日お披露目になりました。『伊東ヤギゾー』です。ヤギ駅員がモチーフです。ビーチが近いので、サーフィンが趣味です!」
環境条件の合致もあり、伊東駅ではヤギ駅員による除草の取り組みがとても好調にいっていることが分かりました。JR伊東駅 望月副長および井上さん、本日はありがとうございました!