こんにちは。編集長の福岡 誠です。2022年5月24日、名古屋~高山間などを結ぶJR東海の特急「ひだ」新型ハイブリッド車両「HC85系」(量産車)の試乗列車に乗ってきました。
いつも通りユルく取材報告を…と思いましたが、当日の中継ツイート・レポート記事で特に反応を頂いたのが、案内放送前に流れるメロディ、いわゆる車内チャイム。
中継ではチャイムの最後部分しかご紹介できなかったこともあり、今回は音源と合わせて車内チャイムの話を中心に、取材報告したいと思います。
蘇った国鉄気動車チャイム
当日、試乗列車が名古屋駅を発車してすぐのこと。新しくも、どこかで聞いたことのある旋律のメロディが流れてきました。
これは…国鉄時代の気動車(ディーゼルカー)などに搭載されている「アルプスの牧場」ではありませんか!
チャイムは2パターンある
チャイムが流れるのは、始発駅発車時と終着駅の到着時。発車場面では約20秒(Long)、到着場面では約10秒(Short)バージョンと、2パターンが存在します。
JR東海より音源をご提供頂きましたので、実際にお聴きください!
編曲:杉浦哲郎
筆者の個人的な思い出になりますが、 アルプスの牧場チャイムといえば、「利尻」など北海道内各地に気動車の夜行列車が走っていた時代、寝る前や朝起きた時に、今にも止まってしまいそうな位ゆっくり、哀愁漂うオルゴールが流れていた思い出が強烈でした。
それが最新のハイブリッド車両のチャイムとして現代アレンジで蘇り、7月からまた日常的に聴けるようになると思うと感慨深いものがあります。
なぜ「アルプスの牧場」を?
HC85系「ひだ」の車内チャイムに「アルプスの牧場」を採用したことについて、JR東海に聞いたところ、
『車内チャイムは、その後に続く肉声放送に向けて注意を引くために流しており、お客さまが耳慣れた曲をベースとすることで、長く定着する車内チャイムとなるよう検討を進めました。このような前提のなかで、HC85系が走行する線区とのイメージが重なることから、国鉄時代の気動車で車内チャイムとして使用していた「アルプスの牧場」を原曲としました。』
とのことでした。
HC85系はエンジンと蓄電池のハイブリッド方式の車両で、車号は気動車を表す「キハ」ではなく「モハ」を名乗るほど”電車”に寄せながら、チャイムが”気動車”に原点回帰する辺り、ニクいですね。
アレンジを手掛けたのは…
今回、HC85系「アルプスの牧場」現代アレンジを手掛けたのは、「鉄道」をテーマにした作品も数多く手掛ける、ピアノ&ヴァイオリンデュオ「スギテツ」(編曲・プログラミング・ピアノ演奏:杉浦哲郎氏、ヴァイオリン演奏:岡田鉄平氏)。
音源収録CDも発売予定!
2022年9月27日にキングレコードよりリリース予定の、鉄道開通150周年を記念した「スギテツ」の鉄道関連曲を集めたベストアルバム(タイトル未定)の新録曲として、HC85系の車内チャイム「アルプスの牧場」のロングバージョンを収録予定とのことです。
「スギテツ」ホームページ(車内チャイム起用リリース)
名古屋駅~高山駅間を試乗してみて
以前、HC85系試験走行車で鵜沼~名古屋間を試乗させて頂きましたが、今回は営業運転仕様の量産車で、区間も名古屋駅から高山駅まで体験させて頂きました。
改めてゆっくりシートに座って体感してみると、ディーゼルカーというよりは電車特急に乗ってるかのような乗り心地でした。エンジン回りは防振ゴムの2重構造になっているほか、車内の床も防音床になっていて、音や振動が従来の車両(キハ85系)に比べて少ないです。
今回HC85系で高山本線の雄大な車窓の区間まで初めて乗り、窓の大きさを改めて実感しました。愛称こそ付きませんが、側面車窓は『ワイドビュー』です。また、所々で自動放送による観光案内も流れました。
前回の試乗ではベールに包まれていた「グリーン車」にもお邪魔しました。2-2列ではありますが、実際に腰かけてみると足元がとても広かったです。
フットレストは、東海道新幹線のグリーン車のフットレストに似ていました。背面のテーブルも、新幹線グリーン車と同じように、前後にスライド可能なタイプでした。
グリーン車のデッキ周りの様子です。
HC85系には沿線の伝統工芸品を鑑賞できるスペース「ナノミュージアム」があります。
以上、取材報告をお届けしました。
繰り返しになりますが、試乗の模様は当日掲載の記事もぜひ併せてご覧ください!